「アルフレッド君。飲みに行かない?」
「ごめん!予定があるんだ。また誘ってくれ、イヴァン」

 撮影が終わって挨拶もそこそこに向かったのは、4階のアフレコ部屋。別名ちびたりあ部屋。
 幼少時の話はアニメでするからと、ドラマキャストがそのまま声優をやっているのだ。

「兄さん!アーサー!」

 ちょうど出てきた2人を見つけて、声をかけた。

「アル」
「アルフレッドさん」

 よお。と手を上げて応えたのは兄のフランシス。その横で後輩のアーサーがぺこりと頭を下げた。

「・・・いつも思うんだけど、アーサーってドラマと性格変わりすぎじゃない?」

 そもそもいくら童顔設定だからって、高校生に20代前半の役をさせるのはどうかと思う。しかも俺の兄的役割として。

「他の連中も似たようなもんだろ。ローデリヒなんて元はロッカーなのにクラシックやらされてんだぜ?」

 どういう人選したんだ、テレビ局。いや、言語と外見と演技力なんだろうけど。

「ところでなんか用か?ドラマ撮影のほうが先に終わってんだろ?」
「ああ、うん。・・・・・・〆切近いレポートが終わってなくってね」

 そう言うアルフレッドの手はがっしりとアーサーを捕らえている。

「・・・いい加減、アーサーに頼るのはやめろ」
「だって、早く終わるんだもん」
「そもそも大学生の勉強を高校生にやらせるんじゃねぇよ」
「うぅ・・・」
「あの、俺は別に構いませんよ」
「アーサー!愛してるよ!」
「アーサー!甘やかすな!振り払えー!!」