「ふっざけんなー!!!」


「・・・・・・朝早くから元気だな」

 控え室に入ったルートヴィッヒを迎えたのは怒り心頭なロヴィーノの叫び声。
 見なかったことにすべきか声をかけるべきかで迷っていると、ぐりんと勢いよく無理向いたロヴィーノに見つかった。

「あ、ルートヴィッヒさん!ちょっとこれ見ろ!」

 敬称付きなのに命令形。こいつらしいといえばらしい。
 そんなちぐはぐな態度で突きつけられたのは今日発売のTV雑誌。

「『Word wave』・・・?ああ、枢軸国特集をしたんだっけか」
「そう!10ページ独占の枢軸国写真集!」
「・・・ちゃんと読者質問コーナーとか新作紹介とかもしてるからな?アルフレッドみたくグラビアとか言うなよ?」
「言わねーよ!それよりもこれ!」
「どれだよ・・・。ヴェネチアーノの紹介欄?これがどうした?」
「ここ!ここのこの写真!」
「?普通のドラマ撮影時のスナップ写真だろ?(半裸でも全裸でもアホ顔でもイタズラ実行中でもない奇跡とも言えるような)普通の」

 心の中だけで呟かれて伏せられた言葉は決して言うまいと思いながら指し示されている写真を見た。
 被写体はポットを片手にコップを手に取っているフェリシアーノ。
 申し訳なさの欠片もなく隠し撮りだと公言されているそれは、視線がこっちを向いていない上にピントも少しずれている。

 ちゃんと撮られていないのが不満なのかこのブラコンめ。
 他に言うべきことは思いつかず、とりあえず顔を上げると苛立ちを数割増しにしたロヴィーノが吼えた。

「これ、俺なんだよ!!」
「・・・マジで?」

 言われてよく目を凝らして見てみれば分かる――――わけがない。

「・・・そうなのか?」
「見て分かるだろうが」
「・・・・・・無茶を言うな」
「無茶じゃない!明らかに兄貴のほうがかっこいいだろうが!!!」
「そんなブラコン特異技能を俺に求めるな・・・!!」