どうしよう・・・・・・
晩御飯の仕度をしようとキッチンに立ったアーサーは、何が作れるだろうかと数日振りに開けた冷蔵庫を前にして静かに長く悩んでいた。
「野菜が、腐る・・・!」
主夫らしく極めて深刻な表情で呟いた彼は、兄弟の予定が書かれているホワイトボードを見上げた。
パーシヴァル:海外ロケ
ケイ:研修旅行
ガヴェイン:連れていきます
ピーター:スイミングスクール(その後、ロメ宅へ)
「・・・・・・デビットさん、来たんだ」
ガヴェインの名前の横にある乱れた見慣れない筆跡に、自由奔放な兄に振り回されているマネージャーの顔が浮かぶ。
また胃を痛めてなければいいが、今度胃薬でも差し入れに行ったほうがいいだろうか。
それはそうと知らないうちに冷蔵庫の中に増えた野菜たち。きっと気のいいミーハーなご近所さんの好意のせいだろう。
しかしこの家は家族全員が不規則な生活をしているせいで食卓に同時につくことはほとんどない。アーサー自身、今朝まで海外ロケで家を空けていた。
だから食材が余るのは当然のこと。
かといってこのまま放置して腐らせたくはない。
となれば方法は1つ。
決心を固めたアーサーはホワイトボードから横のカレンダーに目を移した。
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