対外的には弟や従兄弟だと思われている甥のピーターだが、隠し子という立場に居るせいか周囲の影響によるのか(おそらく大部分が後者のせいだと思われる。だって兄夫婦は周囲の誤解を放置しているだけで真剣に隠すつもりなんて全くない)、なんだかすっかりマセた子に育ってしまったが、こういうときはまだ子供なんだなと思わせられる。
 
「うっ・・・うぇ、えっ・・・ひっぐ、ぅ・・・うえぇぇぇぇ・・・」

 大泣きする姿にそれを思うのも変なことだが、可愛いからいいと思う。

「泣かない泣かない。ほら、大丈夫だから。な?」
「あーじゃー」
「そうだぞー。顔拭いてやるから目ぇつぶれー」

 向かい合わせに乗せた膝の上でしゃくりあげるピーターの背を撫でながら、泣くことになった原因にして一番の被害者でもあるベールヴァルドに同情を込めた視線を向けた。

「泣かれた・・・」
「大丈夫ですよ!ちょっと驚いただけですって」
「そうですよ。ほら、ベールヴァルドさんって背が高いですし」
「顔怖いって言われた・・・」
「えーと、いや、それは」
「ひ、人見知りですよ。人見知り!」
「このおじさん顔怖いって・・・」
「それは・・・えと、光の当たり具合が悪かったんですよ!」
「そんなに落ち込まないで下さいよぉ〜」