「今年は逆チョコなんだってー」

 始まりはフェリシアーノのそんな一言からだった。
 その手に持たれているのは彼の弟が表紙を飾る、バレンタインを前面に押し出したファッション雑誌だ。

「ああ、あのVDが土曜日だから売り上げが悪いからってお菓子業者が「はいはいはい!世知辛い話はなし!」
「ちょうど14日は撮影日ですし、何か作りましょうか?」
「ブラウニー!」
「餅チョコ!」
「トリュフ!」
「・・・・・・フォンダンショコラ」

 夢のないことを言い出したローデリヒの言葉を、ルートヴィッヒは飴を放り込むことで止めた。
 その横ではアーサーの一言に触発された面々がチョコレート菓子の名を叫んでいる。
 
「えーと、餅チョコのレシピってあるんでしょうか・・・」
「本田センパイとかなら持ってるんじゃない?」
「俺も作って来「アーサーくん!1人で作るのは大変だから一緒に作りましょ!フェリシアーノくんもそうしない!?」
「そうですね、エリザベータさん」

 グッジョブ。とその場にいた誰もが心の中で親指を立てた。