「うわぁ・・・すご・・・」

 登校早々にアーサーは感嘆の声を上げた。
 視線の先には机の上に山ほどのチョコレートを積み上げた幼馴染が、げっそりとした表情で椅子に凭れ掛かって座っている。

「相変わらずだねー」
「おぉ・・・」

 何時もより早い時間帯に登校しているにも関わらず、しっかりと待ち伏せていた女生徒たちの餌食にされたらしい。
 
「うおっ!?すげぇな、ウッドストック。でもよ、カークランドもこれくらいもらうんじゃないのか?」
「ううん。ファンからのは危険物が混じってたりするから事務所預かりになってる」
「危険物・・・?」
「・・・これは別の人の例だけど、人が大包みで届けられたこともあるそうだよ」
「いや、それは危険物以前の問題だろ」
「警察沙汰になったって言ってた」
「だろうな。だけどよ、女生徒からはもらえるんじゃないのか?」
「あー・・・こいつの場合は・・・」

「カークランドくん!チョコあげるー!」
「あ、ありがとう」
「ホワイトデー、よろしく!」
「うん」

「・・・あんな感じ」
「・・・・・・ホワイトデーのお返し目当て?」
「だな」