「あら、本田さん。御機嫌よう」 スタジオの休憩室に友人の顔を見つけたリリは、その可憐な容貌に似つかわしい愛らしい笑みを浮かべた。 「おや、ツヴィンクリさん。お久しぶりですね」 手に持っていたスケジュール帳に向けていた視線を上げた菊は、声の主がリリだと気づくと隣の席に置いてあった荷物を下ろして座るように促す。 「相変わらずお元気そうで羨ましいわ。最近、体力が落ちてきてしまって・・・」 「いえいえ、私も昔に比べるとどうしても・・・。このごろは鍼灸院に通ってるんですよ」 会話だけ聞けば中高年の世間話だが、話しているのは見た目だけなら10代と勘違いされそうな外見の童顔コンビである。例えるならば”落語の話で盛り上がるギャル””政治に理路整然とした意見を述べる小学生”のような光景と言えるだろう。 「そういえばこの前もらった漢方、よく効きましたわ」 「それはよかったです」 「お礼と言っては何だけど、おいしい薬膳料理の店を見つけたんですけど、いかが?」 「薬膳ですか、いいですね。・・・今度の火曜でどうでしょう?」 「えーと・・・ああ、空いてますわ」 「では、待ち合わせはいつもの場所で」 「ええ。楽しみにしていますね」 |