「あーもー分っかんねー!」
「落ち着けよ、ギルギル」
「ギルギルってなんだよ!いや、それよりもサインコサインタンジェントって何なんだよ!微分積分とか人生のどこでどう役立つんだー!!」

 きぃー!!!とヒステリーを起こしたかのように文房具を投げ出して頭を抱え込んだギルベルトは、そのままの勢いで参考書の並んだテーブルに突っ伏した。

「荒れとんなぁ・・・」
「この前の試験の結果がよくなかったんだってさ」
「そう言うフランシスは試験当日に寝坊してテスト自体を受けとらんよね」
「あははっ、前の日の撮影が遅くまであったもんだからさ。まあ、学校の成績がどうだとしても俺はこれで食ってくつもりだからねー。アントーニョもでしょ?」
「んー・・・どうやろなぁ」
「俺は!芸能界とはとっととおさらばしたいんだよ!!」
「えー。勿体無い」
「高校受験の頃にも同じこと言っとらんかったっけ?」
「言ってたとも!」
「その割にちゃんと仕事やってんだよねぇ・・・」
「中途半端にすることは俺のプライドが許さねぇ!!」
「・・・ギルちゃんてば、真面目なんだから」
「ああいうのを苦労性って言うんやろうなぁ・・・」