またもや、やってしまいました。嘘から出た真。瓢箪から駒。嘘予告CMより派生、『にほろいど』発売決定!!



「で、あいつは早速買ったのか」
「うん」

 ドレークとアーサーの視線の先には踊りだしそうなくらいにテンションが上がっている友人のエドワードがいる。

「この前、金がないからバイトする!って言ってなかったか?」
「ファンクラブ会員割引だったんだって」
「じゃあ、あの指定店頭買取限定品のパッケージケースはどうやって手に入れたんだ」
「溜めてたポイントを使って買ったんだって」
「・・・1つあれば十分だろうに」
「だよね・・・」

 出た溜め息は同時だった。どれもこれも愛の成せる業だろうが、いまいちその情熱が理解出来ない。
 ボーカロイドを見てみたいという好奇心から不用意にウッドストック家を訪れたことは失敗だったろうか。

「まだ作曲は出来ないから曲のカバーからだよなー。”ソルト”と”Japanese food No.1!”のどっちがいいと思う?」
「聞くな。俺はそういうのは見ねぇんだ」
「本田さんは前に動画サイトで見た”いろはにほへと〜地上最強のクニ〜”が気に入ってたみたいだったけど・・・。キャラソンとかは?」
「ああ、それもいいな。発音は日本語がベースらしいから、日本の歌のほうが綺麗に聞こえるよな」
「そうだね」
「アーサー。煽んないで止めろ」
「無理。力尽きるのを待ったほうがいい」
「じゃあ、まずは”南無妙法蓮華経”から始めるか」

 予想していなかった友人の言葉にアーサーは食べようとしていたクッキーを手から落っことし、アジアの島国の文化など知らないドレークは聞きなれない単語に首を傾げた。

「・・・・・・何、そのチョイス」
「な、ナムミョ・・・??」
「南無妙法蓮華経な。日本人は皆この歌を歌うんだろ?」
「・・・・・・歌わないから。てか、歌じゃないから」
「でも、俺、賛美歌みたいなものって聞いたぜ?」
「誰がそんなことを・・・」

 完全に間違っているわけではない。ないのだが、あれは決して歌ではない。

「無難にキャラソンにしときなよ・・・。本田さんのブログでサビの部分を練習音源として無料ダウンロード配信するつもりらしいから」
「そうなのか?じゃあ、そうするか」
「そういや、『いぎっぽいど』とかいうのも出るって聞いたんだが」
「・・・・・・」
「・・・おい、なんで黙る」
「ドレーク。それ、禁句だからな」
「お前、仕事はじめてからトラウマ増えてるよな・・・」