写真撮影があったために他の撮影メンバーよりも遅い帰路につこうとしていたフランシスは、スタジオホールの椅子に座るアーサーの姿を見つけ、立ち止まった。

「あれ?アーサー、まだ帰ってなかったの?」
「あ、フランシスさん。お疲れ様です」

 アーサーが撮影が終わっても帰っていないのはとても珍しい。いや、イヤミとかじゃなくて、純粋に疑問だ。
 何せこの学生主夫は撮影が終わると「タイムサービスが」とか「洗濯物が」とか言いながら早々と帰ってしまう。学校の宿題や友人との遊ぶ約束が理由なら年相応なのにというなんとも言えぬ感想を抱き続けて、もはやそうじゃないとアーサーじゃないよねという結論に至ったのはつい最近。
 ちなみに本田は随分と前から学生主夫ktkr!とか言っていた。あの人は本当に凄い。あらゆる意味で凄い。真似できるようにはなりたくないけど。

「ちょっと人を待ってて・・・」
「お兄さん!」

 フランシスの疑問を感じ取ったアーサーの答えを子供特有の声変わり前の甲高い声が遮った。
 振り向けば、大きな鞄を持って走ってくる少年の姿。

「ライヴィスくん」
「ごめんなさい。打ち合わせが長引いちゃって・・・」
「気にしないで。パース兄さん、まだ来てないから」
「あれ?一緒にお出かけ?」
「このまま俺の家に泊まるんです。ほら、今日から連休でしょう?でも皆仕事とか補習とかで空いてないもんだから、ピーターが拗ねちゃって・・・」
「ピーターくんに折角のお休みなのに誰も遊んでくれない!って言われて、じゃあゲームを持って遊びに行こうかってことになって、折角だからお泊まり会をしようってことになったんです」
「へぇー、楽しそうだね」
「はい!」