駄目だとは分かっている。
 でも心の底から湧いてくる欲求は御するのに精神力を必要とする。

 手を出した瞬間に人として大事なものを失うような、今まで積み重ねてきたものが無になるような気がして、その思いが自分の手を止める。

 だけど、ああ、だけど・・・


「最近さー」

 テレビ局カフェテリアでイヴァンがアルフレッドに言った。

「王さんの視線が怖いんだよね・・・」


 ふわふわもこもこしたものはいい。
 撫でたいし抱きつきたい。
 だけど大の大人が中身が知り合いだと知っていて抱きついて頬ずりできるだろうか。いやできない。
 そんなわけで今日も王は己の自制心と戦っていた。



 パンダ着ぐるみを着たイヴァンに抱きつきたい王でした。




 ちなみにライヴィスはロシアパンダ出演のたびに抱きついて堪能しております。