目覚めると青空に太陽が輝いていて、起き上がって周囲を見渡せば少し離れたところにいたフェリシアーノが振り返った。

「おはよールートヴィッヒ」
「おは、よう・・・?」
「ねえ、生魚平気?」
「あ、ああ・・」
「刺身と焼き魚とどっちがいい?それともスープにしよっか?」

 とはいっても塩味しかないんだけどねーとヴェネチアーノが笑う。
 いや、お前の料理はそれでいいんだ。と言う元気はルートヴィッヒにはなかった。

「・・・・・・」

 撮影地への移動中に船が転覆したあたりまでは覚えているのだが、このほのぼのとした状況はなんなんだ。
 焚き火に薪を足しているフェリシアーノを見ていると、背後の森からアーサーが出てきた。

「あ、ルートヴィッヒさん、おはようございます。体調はどうですか?」
「大丈夫だが・・・」
「一晩眠ったままだったんで心配したんですよ」

 そう言いながらアーサーはフェリシアーノのところまで行って手に持っていたものを地面に置いた。

「キノコとフルーツを見つけたんですけど、キノコは駄目ですかね・・・・」
「うーん。ちょっと危ないよねー」

 椰子の実にバナナになんだか極彩色のキノコなどなど。
 フェリシアーノが落ちていた船の残骸のとがった部分で魚を捌く横で、アーサーが串を刺した魚を火で焼きはじめる。

「海水の蒸留しときます?椰子の実っておいしくないんですよね?」
「椰子の実はくりぬいて器にしようか。それと前に魚の延髄あたりが水分代わりになるって聞いたけど・・・」

「逞しいなお前ら・・・」

 俺、いらなくね?