ドイツ宅で殺し合いを繰り広げるアメリカとプロイセンを取り押さえた後、青い顔のドイツに適当な謝辞を告げて、とりあえず落ち着かせようとやってきたプロイセン宅に着いた今でも二人はいがみ合い続行中だった。
「いい加減、乳離れしろ。ガキ」
「君こそいつまでイギリスにまとわりついてるつもりだい?」
「まとわりついてんのはてめぇのほうだろ。昔っから何かと邪魔してきやがって」
「邪魔?邪魔なのは君のほうだよ。鬱陶しい男は嫌われるんだぞ」
「自分の恋人と一緒に居て何が悪い」
「・・・君が恋人だなんて認めないからな!」
「認められる必要もねぇよ。いきなりやって来て飛び蹴りかましてくるガキなんかにはな」
「だってイギリスが結婚したって・・・」
「ああ・・・籍は入れたな。人名のほうで」
「本当なんだね・・・。一体どんな手を使って脅したんだい!?」
「脅してねえよ!」
言い合いながらも傷薬を渡したり包帯を巻いたりしているのだから仲がいいとしかいいようがない。
髪も目も違う色彩を持つ2人だが、口げんかの内容もだんだん子供じみたものになってきて、本当に兄弟のようだ。
「紅茶はいったぞ」
ミルクを多めに入れたアッサムを渡してやればそろって黙り込んでカップを受け取る。
しばらく沈黙が続いたが、それを最初に破ったのはアメリカだった。
「イギリス・・」
「ん?」
「ほんっとーにこれと結婚するの?」
「これとか言うな」
「『する』っていうか、『した』んだよ」
律儀に訂正を入れるイギリスにそうじゃないと不満そうに首を振る。
「なんで後なのさ」
普通はする前に知らせるものだろう。ましてや自分はイギリスとプロイセンのことを知っていたのだから隠す必要もない。
「・・・拗ねてんのか、ガキ」
「ガキじゃない!」
イギリスに子ども扱いされるのはまだいい。弟だから存在できる近さというものがある。
でもこの男は昔から嫌いだ。子供の頃から何かと姉を取ろうとする。だからこの男に嘗められるのが嫌で強くなって、今度は自分が姉を守ろうと思ったのに。
「アメリカ」
「・・・別に、イギリスが決めたことだから、いいけど・・・でも・・・」
「アメリカ・・・」
俯いた頭に手が載せられて、そのまま体を引き寄せられた。されるがままに肩に顔を埋めて抱きつけば、昔と変わらない匂いに泣きそうになる。
「別に籍入れたぐらいで何かが変わるわけじゃないから」
「うん」
「本当は周りにも何も言わないつもりだったし」
「うん」
「だから・・・えっと」
「うん。分かってる」
祝福すべきなんだろう。
ちゃんと愛し合ってることはよく知ってる。例えいけ好かなくて乱暴で口が悪くて柄の悪いチンピラみたいなのでもイギリスには優しいし、イギリスが好きな人だし。
「・・・いろいろと気に食わない単語が聞こえて来るんだが」
「気のせいだぞ!」
思っていたことが口にでているアメリカに姉弟の愛情劇を見せられていたプロイセンがツッコむ。
それを適当に流して、正面から向き直った。
「泣かせたりしたら許さないからな!」
「・・・言われるまでもねぇよ」
・・・あれ?シリアス路線?
米と普は仲が悪いわけではないです。ただイギリスを挟むと双方子供っぽくなるという・・・。端からみた仏と英もこんな感じ。
ガキを連呼する普がなんかトルコっぽい。んでアメリカの精神年齢が恐ろしいほどに低い。
ヨーロッパには全く知られてない普英の関係ですが、米は子供の頃から知ってました。そして英争奪戦(イギリス本人は全く気づいてません)。
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