「NOoooooooooooooo!!!!」




「あー、やられたな」
「ジョーンズ、頑張っとったのにねー」

 ヘタリアスタッフによって包囲されたスタジオ”タルタ”から聞こえてきた断末魔のごとき悲鳴に、フランシスとフェリクスは唯一無事であった同志の敗北苦笑いをもらした。

 その全身は磯の匂いが漂う墨――いわゆるタコ墨というもので染色されており、かなり無残な外見となっている。
 スタジオの壁には『Happy Birthday In July』と書かれた横断幕が掛けられており、それだけで今回の騒動の原因も目的も分かろうというものだ。
 スタジオ入りと同時に水鉄砲を持った同僚たちに追いかけられるというトラウマもののドッキリは早々に忘れて、彼らは真っ黒になってやってくるだろうアルフレッドをご馳走と共に待つのだった。