「困りましたね」
「困ったね」
「困ったなぁ」

 アーサーと監督、それから次の収録でアシスタント役をすることになっているイヴァンは顔を突き合わせて悩んでいた。

 そろそろ暑い季節となってきたから、夏ばて対策のレシピを紹介しようかと言い出したのは監督だった。珍しくも建設的な提案をしたぞ。明日は雨か。いや、嵐だ。台風だ。と騒ぐ外野を放置して、辛いものが食べたいなぁと言ったのはイヴァンだった。

 じゃあ、イヴァンをアシスタントにカレーを作ろうとなったのだが、ここで1つ問題がでた。

 辛さが、決まらないのだ。

「ピーターは甘口のほうがいいだろうけど、アルフレッドさんは辛口が良いっていうし」
「僕は中辛ぐらいがいいなぁ」
「甘口食べると気持ち悪くなるんだけど・・・」
「てか、ライスで食べんの?
「本田さんがナンで食べたいって言ってたなぁ」
「ナンですか・・・。まあ、作れますけど」
「でもまずは辛さだよねぇ・・・」
『うーん・・・・・・』