照りつける夏の日差しはコンクリート造りの建物内の温度を容赦なく上昇させる。
 節電と環境のためにクーラーはつけないことにしているから扇風機と自然風だけが頼りという室内で、窓辺に敷いたゴザの上に寝転がったローデリヒが息も絶え絶えに呻いた。

「暑い・・・」
「これぐらいでかよ。堪え性のない奴だな」

 芸風(笑)のおかげで過酷な環境慣れしているギルベルトは、タンクトップ姿ではあるもののきちんと座って本を広げている。
 のそりと顔だけ上げたローデリヒは空ろな目でその様を見据えた。

「ギルベルト。ちょっと隣町の廃墟に行ってこいよ」
「・・・何をしに?」
「幽霊1人につき体感温度が0.2度下が「絶対嫌だ」
「じゃあ生霊を憑けたフランシスを呼「断る」

 ・・・・・・・・・・・・。

 しばし無言の見つめあいが続き、先に音を上げたのはローデリヒだった。

「・・・アイスが欲しい」
「シャリシャリくんでいいか?」
「イチゴ味で」
「へいへい」