目覚めると見覚えのない部屋に寝かされていた。

 室内にある3つのシングルベットの上で起きた3人は無言で顔を見合わせる。
 窓は外の見えない曇りガラス。
 唯一の出入り口であるドアには鍵。
 部屋の隅にあるテーブルの上には、何かが入ったリュックが3つと書置きのされた紙片が一枚。

 『突然ですが、世界を相手取って引きこもってもらいます。 by怪人M』

「「「・・・・・・・・・」」」

 なんだそれは。

「これってあれですよね。最近話題の突発冒険バラエティ”怪人Mの挑戦状”の・・・」
「本当に突発なんですねぇ・・・。次の撮影の打ち合わせでお茶を飲んだ後の記憶が全くありませんよ」
「俺もです。・・・世界を相手にってことは”ヘタリア”のスタッフさんたちもグルですよね・・・」
「宣伝込みということでしょう。てことは役作りしたほうがいいんでしょうかねぇ」
「さ、さあ・・・?よく分から、な・・・」

 先ほどから全く喋らないもう一人の意見も聞いてみようと視線を動かしたアーサーは、いつの間にか開けられていた窓に片足をかけて外に出て行こうとしているバッシュに気づいた。

「ちょ・・・どこに行こうとしてるんですか!?」

 慌てたアーサーがバッシュの腰を抱くように掴んで出て行くのを阻止する。ここは明らかに3階より高いところなのだから危ない以外の何ものでもない。

「いや・・・咽が乾いたからコーヒーでも買いに行こうかと」
「何当然のことのように言っちゃってんですか。明らかに自動販売機とかないでしょ。てか店自体ないし。木と土と動物しか見えないじゃないですか。って、何で!?ここどこー!!??

『ただいまより広域かくれんぼinアフリカを開始しま〜す』

「アフリカぁ!?」
「今のアナウンス、どこからしたんだろう・・・?」
「あ、ドア開きましたよ」
「じゃあ行こう」
「それはいいですから出した足を部屋の中に戻してくださいぃ!!」

 何でこの人選にしたんだろうと隠しカメラの向こうでディレクターが首を傾げていた。