「あの、イギリス・・・」
「ん?」
「今の状況をなんて言うか知ってるか?」
「んー?」
「生殺しって言うんだぞ」

 もしくは据え膳。

 フランスの隣で返事ともうなり声ともつかない相槌をうっていたイギリスは、しばらく首を傾げてフランスの言葉を推敲しているようだったがやがて結論に至ったのかコクリと頷いた。

「・・・がんばれ」
「そう言う問題じゃなーい!!」

 シーツの中。それもフランスのベットの横のフランスの隣に潜り込んだイギリスは、上半身を起こしたままのフランスの膝の上に頭をのせるように寝転んでいる。

「じゃあどうしろと?」
「・・・自分の部屋で寝なさい」

 あと股の間に頭をこすり付けるのは勘弁してくれという意見には、さすがのイギリスも応じて隣に寝転ぶように体勢を変えた。

「寒いから嫌」
「そんな理由で男のベットに潜り込んじゃいけません」
「ならどんな理由ならいいんだよ」 
「そりゃ・・・寒いから温めてvという性的なお誘い?」
「じゃあそれでいいや」
「よくないでしょ!?本当に食べられるだろうが!!」

 男は狼なんだぞ!と狼代表と呼ばれても過言ではない男に叫ばれてもなぁ・・・とイギリスは声に出さずに返した。それにフランスが博愛主義と無差別節操なしを一緒にするなと目で答える。こういうとき腐れ縁の意志伝達技術は便利だ。

「あのなイギリス」
「おやすみ」
「頼むから聞いてー!」

 女に戻ってから体力が落ちているとかで睡眠欲求に忠実なイギリスは、すでに半分が夢の世界に旅立っているようで視線があやうい。

「うっせーなぁ・・・去勢すんぞ」
「俺が悪いの!?」

 理不尽だのなんだのと騒ぐフランスを片目だけ開いて見上げたイギリスは手を伸ばし、見た目と全く比例しない力でフランスの胸倉を掴むとマットレスに沈める勢いで引っ張った。

「ぐぇっ」

 苦しそうな声をあげたフランスを無視して胸元に擦り寄る。

 とても満足そうな表情は可愛らしくて結構なんだが、できればもう少し離れたところから見たい。

「イーギーリースー」

 腹の辺りに柔らかいものが当たってて大変よろしいんだけどよろしくないとかフランスの思考はかなり変になっている。

「本当に襲うぞ」

 どうせできないけどさ。本命には手を出せないとかヘタレか俺は。

「・・・い・・・」
「え、何、聞こえない」
「別に、いい」

 喋るイギリスの目はもう開いていない。

 ああまた爆弾発言してこの嬢ちゃんは。
 自虐的なのどうにかしてくれないかな。そろそろ忍耐やばいんだけど。

「お前、だし・・・」
「へ?」
「お前なら、構わない、から・・・」
「・・・イギリス?」

 声がしなくなって、後は規則正しい寝息だけが聞こえてくる。

「そういうことは起きてるときにいってくんないかなー?」

 ふさけたように呟いてみても思わぬ告白に赤面した顔は戻ってくれない。

「これは反則ですよー・・・」

 とりあえず明日もう一回言ってもらってから押し倒させてもらおう。







 あくまでフランスはイギリスの無自覚っぷりに慌てさせられるという状況になってしまう・・・。

 リクエストどおりになったでしょうか?