「タコとカニのどっちだと思う?」

 お弁当のおかずに飾り切り。
 男子学生のお弁当にはちょっと気恥ずかしいが、恋人お手製なら問題ない。むしろ誇らしいぐらいだ。

 そんな幸せな彼らのうち1人が言い出した。
 ウインナーの形といえば何か?
 多くの場合はタコかカニ。

 結論としてはカニ。
 東洋では普通に食べられているタコだが、欧羅巴ではあまり好まれない。
 食事中のメンバーもその恋人たちも西洋出身者だから、満場一致でカニになった。

 だけど本当にカニなのか?

「そもそもそれはウインナーなのか?」
「・・・・・・」
「・・・それよりも前に、それって食べ物、だよな?」

 弁当箱を覗き込んだフランシスの問いに対して、食べ物だとはっきり肯定するのは悲しいことに難しい。

「愛情って解毒剤にならないか・・・?」

 ぽつりと呟いたら無言で薬を渡された。もっとふざけた調子で渡して欲しかったけどありがたくもらっておく。

「捨てようという案を出さないところは愛情やんなぁ・・・」
「今から慣らしておかないと、将来うっかり死んだらどうすんだっ・・・」

 ギルベルトの目は本気だった。
 そして周囲も全く冗談に思ってなかった。だって年々破壊力が上がってる気がするから、卒業ごろには正真正銘の生物兵器になっているかもしれない。

「・・・イタダキマス」
「「「「生きて帰って来い(よ)」」」」









 一緒にお昼な仏・西・普・独・ロマ。敢えてフラグを立てたアイリスの手作り弁当イベント。
 アイリスは普通に作ってるのに何故か変な反応が起きて失敗。アーサーはつい変なものを入れたり、分量を間違ったりして失敗。前者は自覚なし、後者は自覚有り。どっちも好転は不可。
 アーサーが好意で弁当を作るイベントの予定はないです。むしろフランシスが作る。