「キャラソンを発売するよー」という監督の宣言を受けて、急遽シンガー陣による歌練習会が開かれることとなった。

「あーあーあぁー?」
「もうちょっと高い音ですね」
あー?」
「ああ、はい。それくらいで」

 じゃあもう一回とローデリヒがキーボードの鍵盤を叩く。
 楽譜を片手にしたイヴァンがそれに合わせて歌いだした。サビの音がどうしてもずれるのに苦闘している。

「・・・・・・・・・」
「カークランド〜そんなに緊張しなくてもいいんよー?」
「ううぅぅ・・・」

 少し前まで素人だったのに役者だけでなく歌まで歌うことになったアーサーは色々と一杯一杯だった。
 指導役のフェリクスがどうにかリラックスさせようとしている。

「音はとれるけど歌詞が覚えらんない・・・」
「「・・・・・・」」

 アルフレッドに次ぐNG役者のフェリシアーノに、菊とルートヴィッヒは頭を悩ませる。

「〜〜〜♪」
「・・・・・・フランシス」
「なんだー?」
「君の曲を口ずさむのはやめてくれ・・・」
「青いねーフレッド坊や」

 すでに収録が終わって暇なフランシスと歌詞の内容を静かに聞いてられない若者アルフレッド。

 この光景がCD発売決定のたびに繰り返されることになるとは誰も予想していなかった。