「悔いなさい。その手で、その頭で、その口で犯した罪を」

「振り返れば、貴方の足元にある道の上に多くの犠牲があることに気づくでしょう」

「思いを改める必要はありません。ただ、その罪を知りなさい」

「子羊たちよ。貴方達はこれからも罪を重ねる」

「それは生きていくうえで避けられないこと。故に逃れる術はない」

「迷いなさい。もがきなさい。苦しみなさい」

「恐れることはない。貴方達の罪は貴方達の贖罪によって雪がれる」

「貴方の剣を取りなさい。それは貴方の前に居るものを屠るでしょう」

「貴方の盾を取りなさい。それは貴方の後ろに居るものを守るでしょう」

「立ちなさい。そのために必要な両足は貴方のものでなくてもいい。前を見据えて進んでいける術を持ちなさい」

「血に塗れ、屍を踏みしめ、死を振りまいても」

「立ち止まらないこと。それが我々に与えられた罰なのです」












 はるか昔、彼は神の名の下に同胞を救う存在であった。
 それよりも後、彼は同胞たちを守るために剣を取った。

 その身を剣として、その目に血を映し、その足元に犠牲を並べた。

 それはまだ科学よりも魔法が信じられていた時代。

 人は彼を『血塗れのマリア』と称した。