「どんな奴?」
「・・・酷い奴だよ」
「は?」
「子供のアメリカに構ってた頃は散々殴られた。アメリカのところに泊まった後なんて骨折られて、内臓破裂おこしたこともあったな。
日本と同盟組んだときは爪剥がされたくらいだったけど、首を絞められたときは本当に殺されるかと思った。
最近だと体が急に成長して、最初に頼ったのがフランスだったのが気に食わないって怒られた。ついでに噛まれた」

 ほら、これ。とシャツの前を開けて見せられたのは白い肩にくっきりと残る歯形。他にもまだ塞がってない切り傷と赤黒い打撲痕がある。最近は戦争もテロもないから、つけたのはイギリスの話す男に違いない。

「初めて俺を抱いた奴。女としての恐怖を教え込んだ張本人。そして」

 容易には信じられない事実に二人は何も言えない。
 何で気付かなかった。どうして教えられなかった。

 目の前で語る彼女は、こんなにも傷跡を抱えているのに。

「一番愛しい人」

 微笑んだイギリスの顔は、幸せそうな女の顔をしていた。


 私は鬼畜がとことん好きらしいと確信。
 こんなドメスティックバイオレンスな旦那なら、米だけじゃなく仏も反対しますな。