襲撃は唐突ではあったが予想の範囲内でもあった。
 襲われる心当たりは?と聞かれて、どれのことか特定するのが難しいほどに恨みを買っている自覚はある。とは自身の主人とも呼べる人物の科白だ。


 茶会をするということで足りない材料を買いに来ただけだったのだが、タイミングが悪かったらしい。

 振り下ろされたナイフを弾いて襲撃者の腹に打撃を打ち込んだカナダは、両手に持ったガンズトンファーを握りなおして後方へ飛びずさった。
 背後に立つ人に怪我がないらしいことを確かめてから、出来る限り落ち着いて口を開く。

「こういうのを四面楚歌って言うんでしたっけ?」
「らしいな」

 前にシンガポールに教えられた単語を呟けば、平坦な声の相槌が返ってきた。
 先ほどまでよかった機嫌は絶賛急降下中らしい。

 こちらの予定を狂わせる襲撃は私としても遠慮したいのだが、それ以上にこの人の機嫌を損ねるような要因はいっそ滅してしまいたいものだ。

「・・・カナダ」
「はい」

 名を呼ばれると同時に聞こえた鎖の擦れる音。
 振り返って確かめずとも見慣れた懐中時計がその手に収まっている様が想像できた。

「解除してやる。・・・5分だ」
「Yes sir.3分も待たせませんよ」







 カナダの武器のガンズトンファーは金属製で、コンクリートに思い切りぶつけても砲身が歪まない設計になってます。ただあまり銃の機能は使わないです、砲撃音がうるさいから(マシンガンみたいな連発使用)。


 てか襲われすぎだろ大英帝国