Tithe:スルースキルが不本意に上達して行く

 俺は今、旅行で東南アジアに居る。
 仕事ではなくプライベート。さらに言うなら、例の友人達2人との観光旅行だ。

 以前にも話したことがあったが、旅行は楽しいが逃げ場がなくて困るイベントだ。
 友人のカップルがいい雰囲気になっているところに、うっかり邪魔を入れて壊してしまう後ろめたさといったら・・・。
 せめて夜くらいは2人きりにしてやりたいのだが、宿泊所の部屋は大抵1部屋しかとっていない。これは資金やら防犯やらの問題の他に、長く会わなかった分だけ話し込んでしまうせいだから変更はない。
 何処かに飲みに行くふりをして帰らないという手を企んだこともあったが、酔いつぶれて地元民に迷惑をかけていないかという理由で探し回られてからは諦めた。こういうときは自分の酒癖の悪さが恨めしい。

 
 さて、とうの旅行はどうだったかというと・・・・・・旅行1日目にして帰りたくなった。
 そもそもこの記事は旅行1日目にしての――というか、まだ合流すらしていない時点で書いたものだ。

 別に再開早々に喧嘩をしたとかそういうのではない。
 まあ、聞いてくれ。

 他国での観光の場合は現地集合現地解散が基本だ。別々の国から集まるからどうしてもそうなる。
 大抵は空港のロビーが待ち合わせ場所で、今回もそうだった。

 待ち合わせ時間よりも少し早く到着した俺は30分前集合が鉄則のKは来ているだろうと予想しながら待ち合わせ場所へ向かったのだが・・・・・・。

「K!」
「Bさん!」

 数年ぶりの再会の如く――実際は俺が知る限りでは半年振りの再会だろう――人がひしめき合うロビーで抱き合う2人が居た。

 ちょっ、ええええええええええ!?  壁|д・ ;) 

 お前ら、本当に羞恥心ってもんをもってんのか・・・・・・?
 そして、どうしてこうもグッド(?)タイミングでイベントが起こるんだ (´Д`|||) 。

 周囲の一般客が微笑ましそうな表情で見ているのが逆に居た堪れない。

 近づこうものなら空気が読めない奴扱いされそうで近づけない。
 というか、もしここであいつらに見ていることを気づかれた場合、彼らがどんな反応をするか考えてみればとてもじゃないが声をかける気にならない。

 よって俺はすぐさま踵を返し速やかにその場を離れたのだった。



*追記
 励ましのコメント、ありがとう。
 これを励みにがんばろうと思う。