兵舎裏手にて。
通りすがりの兵B「おーい、どうした?こんなところでへたりこんで」
兵A「プ」
B「ぷ?」
A「プロイセン様と、か、会話した・・・」
B「マジで!?何?何話したんだ?」
A「しg仕事。この前西の方がキナ臭いから調べろって言われた報告書。持ってったら、直接聞きたいことがあるからって呼び出されて・・・」
B「あれか!畜生、俺が行くんだった!」
階級を持たない一兵卒の彼らにとって魔王の片腕たるプロイセンは雲の上にいるような存在だ。普段はその視界に入ることすらできないし、話すことなど持っての外。
直接兵を指揮する将軍や用事を言いつけてくる側近たちに比べ、ほとんど関わりを持つことのないはずなのにどういうわけか兵の中での彼の人気は高い。
かつてあった王位簒奪者の乱において一個師団相手にたった1人で魔王を守り抜いたという武勇伝を知らぬ者はいないし、魔王に全幅の信頼をよせられるもそれに驕る事の無い毅然とした態度は理想の主従だと羨望の的である。
ごく僅かな機会の度に、魔王の傍らに凛と立つ姿を遠目に見て憧れる者がどれほど居ることか、数えるのも馬鹿馬鹿しいぐらいだ。
A「お褒めの言葉までもらった・・・」
B「んな?!ずりいぞ!」
A「俺、舞い上がって舌噛んじまったんだけど!どうしよう、変な奴だって思われたかな!?」
B「知るか!いや、いっそ変な奴って思われちまえ」
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