桜舞い散る正門には真新しい制服を着た新入生たち。
 生徒会は準備・片付けに大忙しで先生方もてんてこ舞い。
 部活動勧誘の声が飛び交い、何故か怒号と打撲音が耳に届く。

「フランシスかいな?」
「いや、俺はここにいるから」
「下級生がカツアゲでもしてたんじゃねぇか?」
「在校生は全員シメられた後だもんなぁ・・・」

 入学式後の在校生は暇なものですでに帰宅しているものが多いが、アーサーが終わるまで待つと言い出したフランシスに付き合ってアントーニョとギルベルトも残っている。

「入学式っていえばよ、中学校のときのこと覚えてるか?」
「中学校・・・ああ、あれな。フランシスが寝坊して遅刻しかけたんよな」
「そう言うアントーニョだってクラス間違えて行方不明になって俺ら探索押し付けられて・・・」
「当の本人はクラス探すのそっちのけで昼寝してたな・・・」
「2人がかりで怒られたもんなぁ・・・。てかギルのあれは入学式んときの恨みもあったんちゃう?」
「は・・・・・・あぁ!?」

 アントーニョの言葉に何のことか分からす首を傾げたギルベルトだったが、心当たりを思い出して嫌そうな表情を浮かべた。

「お前・・・思い出させるなよ・・・」
「あー、あれか。式典で寝てたギルを椅子から落っことしたやつか」
「後ろから椅子を揺らしたら落ちたんよ。やろうと思たわけやないのに・・・」
「でもギルがグレた原因じゃないかって言われてたよな・・・入学式転倒事件」
「命名すんな。むしろ忘れろ」
「「えー・・・」」

 こんな楽しい思い出を?と目で語る2人にギルベルトは拳を握った。