「仕事だぞ、このやろー」
「だからって川遊びしてるところを連れてこないでくれよ!海パン1つで街を歩くなんて冗談じゃないぞ!」
「大丈夫だ。この街では偶にある光景だ」

 

 今日も囚われの勇者様

 

 いつもはギルドで皇帝からの依頼を受け取る(もしくは呼び出しを受ける)アメリカだが、偶に強制召喚されるときがある。
 それはアメリカが遠出していて依頼を受け取れない状況だったり事態が切羽詰っている状況だったりしたときだ。今回は後者のようだ。

「今度の仕事はちょっと大規模だぞ。心して聞け」
「まず服を貸してくれよ・・・」

 アメリカの当然の主張はスルーされた。いつものことである。

「人(?)を捜してきてくれ」
「待て。なんだ、その(?)は」
「あ、ドイツ」
「俺もいるよー」
「イタリアもかい。君たちも連れてこられたのか?」
「ここは俺ん家でもあるんだよー?」
「俺は普通にギルドを通して呼ばれたんだ。ああ、途中で会ったカナダから服を預かっているぞ。なんでも暑さに耐え切れなくなって水路に飛び込んだ挙句に舟と競争して商売の邪魔だとゴンドラ屋の店主に説教されたらしいな。何度も言うがこの街の水路は運搬や移動のためにあるんであって泳ぐための物ではない。不用意に飛び込んで溺れるようなことになったらその周辺の水路を通行止めにしないといけなくなるんだ。そうなると他の者に迷惑がかかるだろう。大体お前は(ry」
「Oh,thanks.・・・お説教はもうお腹いっぱいなんだぞ」
「で、今度の依頼内容はなんだ?」

 不貞腐れながら服を着ているアメリカを放置して、話を進めてしまおうとドイツがロマーノを促す。

「さっき言いかけたように、今度の仕事は人(?)の捜索だ。期限は明後日まで。詳しいことはヴェネチアーノに聞け」
「ヴェ」