色々ありながらもクイーンスライムを見つけて倒し、ようやく地上に出たときには頭上にあった太陽は地平線に沈もうとしていた。
「もう二度と、お前とは組まん・・・!」
「えー。俺は凄く楽しかったんだぞ!途中でちょっと怖かったけどさ」
予想しない方向へマイペースに突っ走るアメリカに振り回されたドイツは疲労困憊の体で近くの壁に寄りかかる。
体力よりも精神力がもたない。
ここからどうすれば宿に帰れるのだろうかと考えていると、近くの水路を見覚えのある青年が乗ったゴンドラが通った。・・・誰だったかな。
「あ、いたいた。アメリカー」
「カナダじゃないか」
ああ、そうだ。カナダだ。
「セボルガくん。アメリカが居たよ」
「Ciao!ほら乗って乗って。お連れさんもどうぞー」
船首で舵をとる茶髪の青年がゴンドラを接岸させ手招いてくる。
声をかけられてしまっては無視するわけにもいかず、アメリカと共に乗船した。
「えーっと、誰だい?」
「僕の名前はセボルガさ!気軽にセボちゃんって呼んでくれていいからネ!」
「・・・・・・」
「セボルガだね。俺はアメリカ。こいつはドイツって言うんだぞ」
「知ってるよ。アメリカのときと同じように諜報部が身辺調査してたからネ」
「・・・諜報部?」
なんだか話が壮大な方向に行っているような気がするのだが。
「そしてそして、過去の業績を見た幹部一同がゴーサインを出しまして、ドイツは見事に合格したのでした〜。なので皇帝さんにアメリカ連れて来いって言われて探してたんだよ。カナダに会えてよかった〜」
「待て。合格ってなんだ。どうして皇帝がアメリカを探すんだ」
「・・・勇者だから?」
「勇者だからだろうね」
「勇者じゃなくてヒーローなんだぞ!」
「「あーはいはい」」
「・・・・・・勇者?」
「大変だと思うけど幹部一同代表としては君たちが組んでくれると助かるんだけどネ。オーストリアさんが損害賠償の請求書を見るたびにぽこぽこ怒るの怖いし」
「幹部?は?」
「今回、アメリカのせいで送られくる請求書額が桁2つくらい違うんだもん。びっくりしちゃったよ。だからこれは是非とも確保してこき使う・・・じゃなくて優秀な人材として確保しておきたいって」
「ちょ、ちょっと待て。話に着いて行けん!」
「それじゃあこのままお城にゴー!」
「おいいいい!!??」
勇者の相棒が決定した瞬間であった。
請求書は王宮へ
「人権は、選択権はどこだ!」
「ま、諦めてネ」
「アメリカをよろしくお願いしますね!」
「これからよろしくなんだぞ!」
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