「・・・なあ、アメリカ。前々から気になってたんだが、お前は防具の類は持っていないのか?」 何だかんだ言いつつも押し切られて、アメリカとパーティを組むようになって一月が経った。長いか短いかは人それぞれだろうが、互いを知り建前を取っ払うには十分な時間である。 そしてようやくドイツは常々疑問に思っていたことを問うた。 その答えは知らないほうがよかったかもしれないという内容だったが、根幹が生真面目なドイツは一度聞いた以上そのまま放置することなど出来なかった。
「ああ、ここだ。武具店アジア」 漆喰の壁に瓦屋根、扉は引き戸。それだけでも周囲の建物とは一線を画しているのに、道に向かって突き出た庇に釣り下がる派手な色のライトと魚や謎の肉塊の干物はなんなんだろう。扉や窓には謎のお札、壁には謎の仮面や人形がくっついているし。 「ま、まあ確かに胡散臭いかもしれないが、扱う商品の質の高さは一流だ」
前に他所で店を出していたときの外観はもっと凄かったしなとは言わなかった。 「邪魔するぞ」 引き戸を開けて入った店内は香の匂いに満たされ、竈と棚が置かれた土間の奥にある一段高いところで長髪の青年が煙管を燻らせていた。
「中国。日本は居るか?」 中国が店の奥に向かって呼びかけるが返事がない。
「寝てるみたいあるね。韓国、日本呼んでくるよろし」 棚にハタキをかけていたアホ毛の飛び出た青年が店の奥へと駆けて行く。それとは入れ違いにお盆を持った黒髪の少女がやって来た。
「お茶持ってきたヨ」 お盆ごと差し出された丸っこいコップの中には薄黄緑色の甘い匂いがする飲み物が淹れられていた。
「新規のお客さん連れてきたからサービスね。次からは有料よ」
中国に促されて板張りの床に直接腰掛け待つことしばし。
「お待たせしました、ドイツさん」
やけに静かな隣を不審に思って振り向くと、床に突っ伏して蹲るアメリカの姿があった。
「アメリカー!?」
僕等はいつでも初期装備
「うーん?なんか悪夢を見たような気がするんだぞ」
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