はるか昔のことだ。

 この大陸は戦乱と喧騒、死臭と悲哀に埋め尽くされていた。

 各地で強大な魔族が猛威を奮い、凶暴な魔獣が跋扈する危険な地。
 勝手気ままに人に害を成していた彼らだが、ある時、彼らの頂点に立つ王が生まれた。

 その名はゲルマン。

 彼は圧倒的な力でもって魔族たちを従え、世界を支配しようとした。

 その脅威を前に、人々は命の危険に怯えながら隠れて暮らすしかなかった。

 そんな人々の祈りが届いたのだろうか。
 とある日、神は1人の救世主を地に使わした。

 救世主の名はローマ。
 彼は精霊ブリタニアの力を借り、魔王ゲルマンを倒した。

 かくして、この大陸に平和が訪れたのであった。


                  ――――――ローマ帝国帝立図書館『歴史書第一巻一章』