リトアニアのことを頼めないかな?

 言いにくそうに時間をかけて言われた内容は思っていたよりは容易く、彼にとっては重要なことだった。

「・・・いいのか?」
『何が?』

 電話を通した会話は相手の感情が分かりづらくて好きではない。

「”お気に入り”だろ?」

 寂しがりやで感情を出すのが苦手な子供が関わりを持てた数少ない国がリトアニアだ。端から見ると分かりにくいのだろうが、ロシアなりに大切にしていたように見えた。
 だから独立したと聞いて、大丈夫だろうかと思っているところへロシアから電話がかかってきたのだ。

『・・・今は、いいよ』
「ロシア?」
『またしばらくしたら帰ってきてもらうから、いい』
「・・・・・・」
『だから、それまでは頑張ってもらわなくちゃ』
「・・・そうだな」

 この様子ならこいつは大丈夫だろう。むしろエストニアとラトビアが心配だ。
 ストレス発散が八つ当たりというどうしようもないガキだからなぁ・・・。

「わかった。リトアニアのことは引き受ける。経済的に安定してる国に仕事の斡旋しといてやる」
『うん。お願い。あ、僕のことは言わないでね』
「わかってるよ。お前も無理するなよ」
『はーい』









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 イギリスがリトアニアをアメリカに紹介した理由。
 ロシアはリトアニアを支援できそうなのが自分以外にはアメリカくらいしかいないと分かっているからこそイギリスに頼みました。ロシアからアメリカへの捻くれた信頼。