療養名目でフランスに滞在することになったある日、フランスが上司に呼ばれて外出中なため一人で留守番をすることになったイギリスは、先ほどからしつこく鳴らされる呼び鈴の音に顔をしかめた。
自分の家ではないので客が来ても放って置くことにしているのだが、このままにしていては近所迷惑だ。
別にフランスが周りからどう思われようと関係ないけどな!うるさいから止めるだけだぞ!
玄関へ向かう間にも絶え間なく鳴り続ける音に苛立ちながら、ドアを開ける。
「はい、どちら様?」
「・・・イギリス?」
訪問者が誰なのか視覚で認識したイギリスは、次の瞬間にはドアを閉めようとした。
西洋の内開きのドアは内と外とで押さえつけられあって、僅かに開いたままの均衡を保っている。
「え?ここ、フランスの家だよね?」
ギギギ・・・と嫌な音を立てるドアを挟んで向かい合う相手――海の向こうにいるはずの元弟であるアメリカの能天気な声が聞こえる。
普段は空気が読めない上に鈍いのになんで変なことばかり鋭いんだ。そういえばこいつ俺が女だって知ってるんだよな。この前会った時だってそのことで喧嘩になって・・・。って、んなこと考えてる場合じゃない!
「当たり前だろうが、そんなことも分からなくなったのかこの脳みそハンバーガー男」
「なんで君が居るんだい?」
「お前には関係ないだろ!むしろ、お前のほうこそどうしてここに居るんだ!?」
ああ、くそ。こっちは精一杯力いれてるのにあっちは余裕なのがむかつく。
「酷いぞ、イギリス!俺が頼んだときはそんな格好してくれなかったのに!!」
「人の質問に答えろー!ばかぁ!」
この攻防はフランスが帰ってくるまで続いた。
アメリカ、シスコンバージョン?
ツンデレで皮肉屋なイギリスをどうにか表そうとしたんですが、成功してるのか?
ドアを挟んだ攻防戦が書きたかったんです。はい。
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