珍しくイギリスの機嫌がよかった日のことだ。
 トルコに面白い茶葉を貰ったのだと言いながらイギリスが出してきたのはリンゴの香りがする茶だった。

「アップルティーか?」
「いや、エルマチャイっていうらしい。茶葉じゃなくてりんごの実やハイビスカスを乾燥させたものをミックスしたハーブ・ティーなんだと」
「へぇ」

 一口飲んでみると酸味と仄かな甘みがした。悪くない。

「砂糖で味を調えるって聞いたから少しだけ入れてみたんだが・・・どうだ?」
「ああ、うまいよ」
「そうか」

 安心したように微笑むイギリス。
 この時点で自分は不信感を抱くべきだった。


 少し前の自分の行動をしみじみと思い返すフランスの頭には黒い三角形の犬耳が生えていた。
 今の心情を表わすかのようにぺたりと伏せられているのをイギリスが指でつまんで撫でたり引っ張ったりしている。

「尻尾も生える予定だったのに、失敗だったか・・・」
「尻尾もかよ」
「薬の量が少なかったんじゃねえのかい?」
「トルコ、お前何時の間に」
「いや、適量の2倍は入れといたから・・・何が悪かったんだ?」
「2倍も入れたのかよ」
「・・・フランス、うるさい」
「何この理不尽さ!?俺被害者だよね!!??」


 
01 一服盛られたアップルティー


「ところでこれは何の耳なんでえ?」
「ベルジアン・シェパード・ドッグ・グローネンダールっていう犬だ」
「何そのわざわざ探してきました的な長い名前!?」




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 時代は定かではないんですが、昔トルコが欧羅巴諸国と不仲だった頃にイギリスとだけは貿易していたという話よりトルコ出演。
 成功作だった場合、薬は日本に進呈されます。