「「あ・・・・・・」」

 初詣の出店にて、スイスとイギリスはとある屋台の前で足を止めた。

「これが、あの・・・」
「ああ、これが、例のアレだ・・・」

 ぎょろりと開いた目。
 ぐねぐねと動く8つの足。
 ひれもうろこもない滑った皮膚。

「Tintenfisch・・・」
「Octopus」

 ドイツ語で”Tintenfisch”。
 英語で”Octopus”

 日本語でなら・・・

「タコ、ですか?」
「「・・・・・・・・・」」

 【タコ(蛸)】
 頭足綱八腕目の軟体動物。卵円形の頭状のところが胴で内臓が収まっており、口状の漏斗からは墨・水・排泄物などを出す。頭は目のあるところで、口を俗にからすとんびといい、その下に8本の腕をもつ。腕にはいぼ状の吸盤がある。
 ちなみに、欧米(主に寒冷地)ではデビルフィッシュと呼ばれており食べるなど以ての外である





これぞ我が家流
「食べるのか?本当に、これを、食べる、のか??」
「そんなに力を込めて言わなくても・・・」
「ナマコの時も思ったが、どうしてコレを食べようと思ったんだ・・・・・・」
「お前に言われたくはないと思うぞ?」
「・・・・・・言うな。問題は味じゃなくて見た目だ」









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 聖書の中に『およそ水中の生物のうちで、ひれやうろこのないものは、その肉を食べてはならない』というくだりがあるため、欧米では軟体海洋動物は食用の枠に入らない。(さらに言えば欧米の寒冷地帯にタコやイカはいない。)
 そのため地中海沿岸は例外として、八本足や十本足のヌメヌメとした生物は気持ちが悪い、水中の魔性の生物(=デビルフィッシュ)であるという偏見があるとされている
 まあ、イギリスならフランス辺りに食べさせられてそうですが・・・。スイスは内陸の国だから海産物そのものに慣れてなさそうだ。
 ちなみに、日本人が食用とする海藻類も嫌われているとか