ゴー・・・ン・・・
「ん?何の音だい?」
「除夜の鐘あるね」
「ジョヤ?」
「日本の風習あるよ。大晦日から正月にかけて108回鐘を叩いて煩悩を払うね」
「なんで108回なんだ?」
「それについては諸説様々ね。人の煩悩の数とか一年間を表わすとか四苦八苦を取り払うということで4×9+8×9=108とか」
「へー・・・」
「・・・お前たち、文化講習会は結構だが、現実から目をそらすな」
3人の下敷きになって地面に這いつくばった状態のドイツが呻いた。
「まさか落とし穴に引っかかるなんて・・・」
不覚だったと悔しそうにアメリカが拳を握る。
「普通は20mもある落とし穴なんて考えないね・・・」
一番上にのっかっているのは中国。その下には何かを悟った表情のフランス。
「・・・これはこれで、いい」
「ぎゃああああ!ど、どこ触ってるね、法國!?」
「上で暴れないでくれよ!」
「いいから早くどけー!!」
日本邸近くの落とし穴の中でアホな会話が繰り広げられている頃、落とし穴をつくった元凶たちは西の地で一足遅い新年を迎えていた。
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こたつ・かまくら・鍋。紅白が見えないのは残念だが、ラジオで聞けるからまあよしとしよう。
「今年も色々ありましたねー」
しみじみと日本が言えば、スイスとイギリスが頷きを返してくる。
2人とも日本と同じようにどてらを着てこたつに埋まるように収まっていた。かろうじて出された手だけは箸と器を持って鍋の中身を消費すべく動いている。
「クリスマスのあれは凄かったよなー」
「ああ・・・」
「あれですか」
手元を見る体勢から少し遠い目になる。
「フランスさんを冬の海に突き落としてみたり」
「イタリアを人質にとってドイツを脅してみたり」
「ギリシャを味方につけてトルコにけしかけたり」
悪いことしちゃいましたね。と日本が笑った。その手は止まることなくカニの身を掻きだしている。
「ハンガリーの勢いは凄かったのである」
「ああ・・・まさかマシンガン背負って単車で追いかけてくるとは思いませんでしたね」
「昔からオーストリアが絡むと性格が変わるからな」
あははは・・・と乾いた笑いが起こった。
「あ、鍋の中身がなくなりましたね。次のいれましょうか」
そう言って日本はかまくらの出入り口の外に手を出した。
絶え間なく雪が降る外は自然の冷蔵庫と化している。
−30℃のモスクワ某所での新年会でのことであった。
おまけ
「君たち、何してるの・・・」
「あ、ロシア」
「おや、制限時間寸前でスイスさんに逃げられたロシアさんじゃないですか。あけましておめでとうございます」
「うん。おめでとう。ところでここ、僕の家なんだけど?」
「ええ存じております」
「相変わらず日本はロシアが嫌いなのだな」
「ある意味アメリカ以上の嫌悪っぷりだからな・・・」
「うううう・・・」
「あ、ラトビア」
「そう言うお前は小さいものをむやみに可愛がるな」
「蜜柑食べるか?アイスもあるぞー」
「い、頂きます・・・」
日本家にいってみたけどなんか落とし穴に入っちゃった国連ズ
かまくらが日本の冬にかかせないと言われたからロシアまで言っちゃったSHK
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