予想していたよりも早かった邪魔者の乱入に、持っていた棒を抱えなおしながら溜め息をつく。

「少しぐらいいいじゃない」
「なんだかうっかり何かおきそうだからダメだ!!」
「フランシス君のケチ」

 消せ消せと箒やトンボを持ったフランシスやアントーニョが校庭に書かれた線を消していく。

「そんなに慌てなくてもたまにしか変なものはこないよ」
「来る可能性はあるってことかい!てか先生に怒られるで?」
「・・・なんのための生徒会だと思ってるのさ」
「・・・・・・なんだか不穏な会話が聞こえてくるんだが」
「副会長・・・なんてことしてるんですか・・・」

 いつの間にかアーサーも校庭に出てきていて、その後を追ってきたらしいルートヴィッヒとエドァルドも校庭の線消しに参加しだす。

「結構上手くできたのになぁ・・・」
「ああ、ミステリーサークルか・・・。中学生のときにやったな・・・」
「・・・やったの?」

 副会長が会議をさぼって奇怪な行動をしていたことなどスルーして、石灰で描かれた直線と曲線の絵図を眺めるアーサーからは呑気な回想エピソードが語られ始める。

「中学生のときに一回な。逃げるのが大変だった」
「それ先生からやんな?宇宙人からとかじゃないんよな!?」
「・・・・・・」

 近くで会話を聞いていたアントーニョがツッコんだが沈黙で流される。
 イヴァンは相変わらずの笑顔でツッコむ気すらなさそうだ。

「アルフレッドが連れて帰ろうとするのをアイリスと2人がかりで説得したなぁ・・・」
「アルフレッド・・・?・・・ああ、宇宙人マニアの従兄弟君だっけ?」
「宇宙人マニアって・・・。まあ間違っちゃいないけどよ」

 連れて帰ろうとしたのって犬とか猫とかですよね?

 自分の常識を犠牲にする覚悟で聞けるような猛者はこの場にはいなかった・・・。