世界は、今日も、穏やかで、それでいて、冷たい。

 空は綺麗な青色で、雲ひとつない快晴。
 最近少し寒いから薄い上着を制服の上から羽織っていたけど、軽い運動で暑くなるくらいだからいらなかったかもしれない。

 今日も私たちの世界は平和だ。
 街を歩けば人垣が割れ、裏路地を行けば柄の悪い連中に頭を下げられ、夜の街へ出れば黒い世界の人たちに挨拶される。
 いつもと変わりない日だ。
 名も知らない人たちに関わってこられるのすら、変化する日常の一部でしかない。

 足元に転がる他校の生徒――どこの学校かまでは分からないけど高校生らしい――を見下ろしながら深く息を吐く。

「つまらないわ」
「そうだな」

 独り言だったはずの言葉には同意が返ってきて、振り向けばアーサーが服の埃を払いながら歩み寄ってきていた。

「終わったの?」
「ああ。どこの学校かも分かった。あとで挨拶に行っておこう」
「そうね」

 降りかかってくる火の粉は早めに始末しなくてはならない。再び燃えたりしないように火種を潰して徹底的に滅する。
 血の気が多い暴れたがっている子達に任せれば、完璧にやってくれることだろう。

 どちらともなく手をとりあって額を合わせる。
 産まれたときから、いや産まれる前から一緒に居た半身。一番の理解者。唯一の味方。
 私たちの世界には私たちだけがいればいい。邪魔なものは排除する。その方法が少し荒っぽくなっても仕方ないこと。

 母親の胎内にいたときのような体勢のままでしばらく瞑目していたが、やがて目を開けて2人微笑みあう。

「帰ろうか。アイリス」
「帰りましょう。アーサー」

 手を取り合って、2人は歩き出した。





 グレてるわけではなく、依存度が高いせいで周りを排除しようとする思考が強い2人です。
 富豪の両親が死んで、遺産目当ての親戚を相手に2人だけで生きてきたので、互い以外信じられない。一応おじ夫婦(アルフレッドの両親)は味方なんですが、信じきれていません。そして高校進学と同時に家出(?)。
 地元では伝説になるほど凄いコンビだったとか。

 武/装錬/金の双子みたいな感じ・・・