荒廃した大地。
 漂う硝煙と血の匂い。
 濁り霞む空気の色。
 地上とは不釣合いに青い空。


「もう、見ないと思っていたんですけどね・・・」


 二度と関わらぬと目を背けた世界。
 認めたくないと受け入れようとしなかった現実。

 駄目になる寸前間際まで迷い続けた”今”は、どうしようもないほどに壊れてしまっていた。


「日本」
「・・・スイスさん」
「時間だ。・・・行くぞ」


 心配そうに見てくるスイスに言葉の代わりに微笑んでみせる。
 立ち止まって振り返る時間も、迷って逃げる場所も、ありはしないのだ。


「行きましょう・・・。終わらせるために」


 鞘に収めた我が刃、今一度解き放ってみせる。






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